こんばんは。カンボジアのスタートアップ情報をお届けしているCONPATH編集部です。
本日は先週末に開催されていたカンボジア初開催となるMakerthon「South East Asia Makerthon- Phnom Penh」に潜入してきたので、その模様をお伝えします。
「South East Asia Makerthon- Phnom Penh」とは、「SEA Makerthon 2016」というMakerthonコンテストのプノンペン支部大会です。
「SEA Makerthon 2016」は3ヶ月に渡って開催されるオープンイノベーションプログラムです。
東南アジアの6カ国10都市で開催され、各都市のコンテストの優勝者はシンガポールで開かれるグランドフィナーレで投資家に自分たちのアイデアをプレゼンする機会を得ることができます。
「SEA Makerthon 2016」には全都市共通のテーマが設定されており、今年のテーマは「Designing a World with Zero Waste」。つまり、廃棄することのない世界を創ろうというのが10都市共通のテーマです。
そこから各都市でさらにテーマが絞られ、プノンペンのMakerthonは農業がテーマでした。
ちなみに他の9都市でのテーマはこちら。
ハノイ(ベトナム):食料廃棄
ホーチミン(ベトナム):包装
バンコク(タイ):未定
チェンマイ(タイ):水不足
シンガポール:食料廃棄/一般廃棄物
ペナン(マレーシア):家庭用電化製品
クアラルンプール(マレーシア):家庭用電化製品
バンドゥン(インドネシア):未定
ジャカルタ(インドネシア):食料廃棄
「Makerthon」という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃると思うので、簡単に説明します。
Makerthonは2~4人のチームで36時間で課題解決のアイデアをプロトタイプに昇華するというものです。
先日コラムで紹介したStartup Weekendのハードウェアを使ったアイデアに特化したイベントと考えていただければイメージが沸くかなと思います。
会場はPuthisastra大学の一室。会場への案内はダンボールに手描きでMakerthonと書かれたもの。Makerthonではダンボールやビニールを自分たちで工作してプロトタイプを作っていくため、案内板も手作り感溢れたものになっています。
2日目の午前中に訪問するとプノンペンのMakerthonは農業がテーマということで、カンボジアの農家の人たちが必要としていることは何か?とアイデアを作っていく際の視点をファシリテーターが提供したり、その他3日目の最終プレゼンまでの流れを伝えるガイダンスがチームで作業を進めていく前に行われていました。
ひと通り説明が終わるとチームごとに別れアイデアを練っていきます。
2日目の潜入はここまで。翌日の最終プレゼンでどのようなプロトタイプが出てくるのかを楽しみにしつつ一旦会場を離れます。
3日目、最終日!プノンペンでのコンペを勝ち抜いてシンガポールでのグランドフィナーレに進出するチームはどこなのかとワクワクしながら会場に向かいました。
最終的に組成されたのは13チーム。先日開催されたStartup Weekend Phnom Penh Women’s Editionは8チームだったため、参加者が非常に多い。
評価項目は「オリジナリティ」「デザイン性(修理可能か、拡張性があるか)」「技術的に実現可能か」「ビジネスとしての実現可能性」の4つ。
13チームの中から1チームがシンガポールで開かれるグランドフィナーレに進出する優勝者として選ばれ、もう1チームが優勝チームがシンガポールに行けなくなった場合の控えチームとして選ばれます。
13チームのアイデアは大きく以下の4つに分かれました。
農作物を長期間保存できるようにするというアイデアは過半数に近いチームから出ており、カンボジアの農家では長期間保存することが難しいことが伺えます。
惜しくも優勝はできなかったものの準優勝、シンガポール行きの控えチームに選ばれたのはエントリーNo.13の「Eco Fresh Team」。
エコフレンドリー・クーラーボックスとでも言いましょうか、竹で作ったボックスの内部に麻布を張りそれを水で湿らせることで農作物を保存できるようにするというもの。
さて、シンガポールで開催されるグランドフィナーレに進出を決めたのはエントリーNo.3「RAT HUNTER」でした!
そのアイデアは、ねずみが近づいてくると猫に模したプロダクトの目がピカッとフラッシュがたかれトラップに追い込むというもの。
講評を聞くと、このアイデアがいかに必要で効果があるかをストーリーを交えることでジャッジにうまく伝えられたという、プレゼンテーション能力も評価されたようです。
このアルミで形作られた目の部分が実際の製品ではピカッと光るとのこと。
Makerthonでは実際のもの・ハードを作らなければなりません。今回のプレゼンを行った13チーム全て実際に稼働するプロトタイプを作るまでには至りませんでした。
シンガポールのグランドフィナーレでは実際に上の猫ちゃんの目がピカッと光ってより効果を聴衆に認めてもらえるようになっていることを期待しつつ今回のイベント潜入レポートを終わりたいと思います。
他の都市でのMakerthonの結果や、シンガポールでのグランドフィナーレの模様はこちらのFacebookページで発信されています。興味のある方はいいね!して情報を入手してください。
https://www.facebook.com/seamnet/
プノンペンでは来月には教育系アイデアにフォーカスしたStartup Weekend Phnom Penh Educationの開催が決まっていたりと、スタートアップ、イノベーション系のイベントが頻繁に行われるようになっています。
その中には今回のようなプレゼンをしたら終了ではなくその次のステージが用意されているものも出てきています。
まだまだ海外に名前が知れ渡るようなカンボジア発のスタートアップは生まれていませんが、徐々にスタートアップコミュニティが形成され始めています。
イベントだけでなくコワーキングスペースが続々とオープンし、インキュベーションプログラムも作られています。そして、20代半ばのカンボジア人が立ち上げたスタートアップがちらほら出てきている2016年は、後々プノンペンのスタートアップ元年だったねと言われるようになる、そんな匂いがしています。
カンボジアは人口がおよそ1,500万人で隣国のタイ約7,000万人、ベトナム約9,000万人と比べると国内の市場規模が小さく、国内向けにサービスを行うのはメリットが少ないことや、エンジェル投資家も少ないため、ビジネスをガツンと大きくさせたいという人にはうまみのない国です。
けれども、スタートアップ、イノベーション界隈のコミュニティがちょうど立ち上がってきている、海外留学していたようなエリートではない20代のカンボジア人がスタートアップを始めているというこのタイミングはASEANの中でも他にはないカンボジア、プノンペンのおもしろさだと感じます。
ASEANに飛び出してビジネスをやっていきたい、ASEANで起業したいという人にはプノンペン、おすすめです。
CONPATHではカンボジア発のスタートアップに参画するインターンプログラムを始めました。
カンボジアの起業家と働き、カンボジアの起業家から学ぶ。ASEANで自分のビジネスを起こしたい学生、若手社会人の人にはぴったりのプログラムです。
カンボジア発のスタートアップで力試しをしてみませんか?
興味を持たれたかたはお気軽にCONPATH(担当:瓜生原)までご連絡ください。
担当:瓜生原
メールでのお問合せはこちら:takumi[あっと]conpath.net
LINEでのお問合せはこちら:takumiuriuharaでID検索!
現地起業家と共に働く
日系スタートアップで経験を積む