Study abroad in the UK

留学の良さは学問だけではない? イギリスで出会った人生の師匠

[:ja]山崎[:][:en]Tatsuo[:] [:ja]達夫[:][:en]Yamazaki[:]

by 山崎 達夫

こんにちは。CONPATHライターの山崎です。

長期で海外経験をしてみたいけど選択肢で迷っている学生に、留学と海外インターンのリアルな体験談を紹介するシリーズ。今回は留学体験談の第1弾。甲斐 雄一郎(かい ゆういちろう)さんの体験談をご紹介します。

理系を志望して大学に入学した。でも、大学で様々な経験するにあたって自分がやりたい方向が変わってきてこの先どうしようかと考える方は多いのではないでしょうか。現在、商社で海外に生産工場を立ち上げるお仕事をしている甲斐 雄一郎(かい ゆういちろう)さんも工学部に進学しました。ところが、大学2年生の時にサークルの友達に誘われていったスタディツアーで国際協力に興味を持ち始めます。その後、途上国で活動を行うに連れ、その道に進もうと決心した甲斐さんは農村経済学を勉強するためにイギリスのマンチェスター大学院へ留学することに決めます。そして、留学先で人生の師匠と呼ぶ人に出会います。師匠と対話を重ねていくことでやりたいことが明確になったと振り返る甲斐さん。甲斐さんの留学はどのようなものだったのでしょうか。イギリスの大学院での留学についてインタビューしました。

友人と参加したスタディツアーで国際協力に興味を持つ

Become interested in international cooperation through Study Tour to Thai
横浜国立大学の工学部出身の甲斐さんは、入学当初は工学部を卒業し、大学院に進むこと考えていました。当初は留学に行くことも予定しておらず、国際協力にも全く興味がなかったそうです。しかし、大学2年生の時にたまたま参加したスタディツアーをきっかけに、国際協力に興味を持つことになります。タイの農村を訪れたそのスタディツアーで、農村に住む若者の出稼ぎ労働の実態を知ります。

「農村部に住む家族を若者は、家族の生活を支えるために出稼ぎ労働で都市に出ます。でも彼らは山地民という理由で不当に差別され、売春などの低賃金の過酷な仕事にしか就くことができません」

このツアーで国際協力に興味を持ち始めた甲斐さんはスタディツアーの後も、フィリピンでの短期留学やフィリピンへのバックパック、インドのNGOでボランティアをするなど、途上国へ頻繁に足を運ぶようになりました。そして、いつしか将来は農村の若者の雇用を支援する仕組みを作りたいと考えるようになり、農村経済学を学ぶため大学院での留学を決意します。

工学部を卒業してイギリスの大学院で農村開発学を学ぶ

大学院へ留学するまでに幾度となく海外の滞在経験があった甲斐さんですが、それでもイギリスの大学院に留学するには言語面で高いハードルが残されていました。

「3年生の夏から英語の授業を受けて、ライティングのスキルを磨いていました。でも、それだけだと足りないと思って大学院予備校に通うことに決めました」と振り返る甲斐さん。

「IELTSのスコアがなくてもその予備校の一定の成績が取れたら留学に行ける制度でした。大学院と繋がっている予備校で、最後に授業の成績を提出すれば大学院側が入学を認めてくれます。実際に通っていた大学院予備校は大学院直結コースで、留学先でやることが全て詰め込まれています。イギリス人の先生からプレゼン、リーディング、論文作成など留学先の大学でやるような実践的な内容で授業を受けていました。予備校が始まった当初はかなりしんどかったです。これで本当に大学院にいけるのかなーって友達と話していました。でも繰り返し同じことをしていくうちにできるようになってきました。それが大学院への自信になりましたね」

大学院予備校と現実とのギャップ。イギリスで再びぶつかった言語の壁

Field Trip to Uganda
予備校で留学への準備を万全に行った甲斐さんでしたが、実際にイギリスで受ける授業は想像以上に難しいものでした。「予備校だと同じ先生から話を聞くので慣れてくる。でも大学院だと授業ごとに先生が違います。訛りもひどいし、授業の中身もレベルが高い。グループワークの授業では、周りの人はみんなネイティブのイギリス人で話すのが早くて全くわからなかった。『甲斐どう思う?』って意見を聞かれても、『うーん、いいと思う』としか返せなかった。わかっているふりをするのがしんどかったです。笑いましたね。あれは。イギリス人がトラウマになりました。あとは授業の前に読む課題の量も多すぎて読めなかったですね。読んでいても全然わからなかったです。いくつか捨てる授業もありましたね。成績をつけるのは論文だから授業の最後に課される論文さえしっかり書けば単位を取れます」

「でも捨てるって言っても、せっかくお金を払ってきているのだから、わからないところは友達に聞いてみたり、同時期に留学していた日本人留学生がいたので、その人たちと時間を作ってわからないところをシェアする時間を作ったりしていました。あとは、教授に質問しに行く時にICレコーダーを忍ばせて録音していました。早すぎて何を言っているのかわからないけど、ポイントをついた説明をしてくれていた。帰ってわからなかったところは録音したものを何度も聞いて一言一句逃さず拾って聞いていました」

留学経験でできた人前で話す余裕

留学当初は授業中他の学生が言っていることを理解できず、自分の意見を言えなかった甲斐さん。授業に参加するために自分なりにかなり工夫されていたそうです。「留学に行って1ヶ月目くらい1グループ4、5人でディスカッションする授業がありました。アフリカの歴史という授業で、周りのメンバーは皆ネイティブでした。予習はしていくんですけど、英語も話せないしアフリカの歴史もそんなに知らないから、皆が何を言っているのか全くわからない。相当落胆しました。やばいなって。それをどうやって解決したかというと、何でもいいから誰よりも先に意見を言うことにしました。電光石火みたいな感じで。予習をしっかりして何でも良いからセリフを準備する。そして、間違っていても良いから言う。恥ずかしくてもわかってなくてもとりあえず発言することをしていました。それで度胸がつきました。今は日本語が話せるし、予習をしなくてもある程度わかります。仕事の会議では必ず発言して自分の意見が言えています」

「あとは英語でプレゼンテーションする経験をして、人前で余裕を持って話す力が身についたと思います。日本語でプレゼンをする機会はありますが、英語ですることはあまりないじゃないですか? 英語だと文章や単語を覚えていかないといかないからプレゼンを覚えないといけない。アドリブを入れるのも難しい。留学でそういう経験をしたことで、日本語でプレゼンすることがより簡単に感じられています。仕事でプレゼンをしたり、会議でファシリテータをする時など、日本語でする分余裕ができて、人前でも余裕を持って皆を見ながら話すことができていると思います。もちろん留学が100%関係しているかと言われるとわからないけれど、留学でその下地ができたと思います」

就職活動のために帰国を2ヶ月早める

甲斐さんの大学院への留学は、予定通りであれば2011年9月から2012年8月までの予定でした。しかし、8月に帰国するとなると就職活動の開始に遅れます。「就職活動の開始に遅れることには不安がありました」と振り返る甲斐さん。「2月から説明会が始まって4月には就活が本格化していました。行きたい会社の採用活動も始まっていて不安でした。周りの友達に2人新卒の子がいて、その子たちは4月に一度帰ってJICAを受けていました。でも大学院にいるから帰国するのはもったいなーって思って、2ヶ月帰国を早めて6月に帰国することにしました。すでに行きたい企業は絞っていて、その企業は4月から採用活動は始まっているけど、6月から留学生向けに夏季採用もしていました。それに間に合うようにエントリーシートを帰国前の5月にある程度書いて、帰国したらすぐ面接というような予定を立てていましたね」

しかし、帰国時期を2ヶ月早めるとなると論文の提出も早くなります。「帰国時期を早めることはチューターの教授に相談しました。教授も良いよと言ってくれて2月から一緒にやりましょうと協力してくれました。それからは授業と並行しつつ、早め早めに動いて6月には論文を提出できました。周りの人はこれからやるのにもう終わったのって聞かれました笑。授業で忙しい中で同時並行でできたし、みんながやっていないこと普段できないことを達成できたので、自信につながりましたね」

イギリス留学で出会った人生の師匠

商社とメーカーをメインに就職活動をしていた甲斐さん。「商社だと例えばアジアの国で農作物を作って買う、それを高くして先進国に売るというような仕事をして日本に輸入して現地で雇用を生み出したい。途上国、農村、農業に関わる仕事がしたいという思いがありました。それが企業選びの軸でした」

当初は国連に行きたいと考えていた甲斐さんですが、イギリス留学中のある出会いをきっかけに商社とメーカーを中心とした就職活動に舵を切ったそうです。

「もともと国連に行きたいと考えていたのですが、イギリス留学中のパーティーで自分が師匠と呼ぶ人に出会いました。その方は社会人を経て大学院に留学をしている方で、まずは企業に入る方が実力もつくし良いよとアドバイスをもらいました。そもそも自分は何をしたいのかから一緒に考えてもらって、エントリーシートを書く中でも見てもらって『お前がやりたいことは何だ?』と半年間ずっと投げかけれました。そこで自分がやりたいことはこれかなっていうのを見出せる機会があったのは自分にとって大きかったです」

まとめ

甲斐さんの留学体験談はいかがでしたでしょうか。留学先での素敵な人生の師匠と出会ったこと就職活動や留学後の選択に大きな影響を与えたと振り返る甲斐さん。日本を一歩出てみるとそこには海外で奮闘する様々な人たちとの出会いがあるかもしれません。皆さんも海外に出て見てはいかがでしょうか。

甲斐さんの留学通信簿

総合評価 90点
– 留学先での人生の師匠との出会い
留学先と時期およびその目的 イギリスマンチェスター大学院 Economics and Management of Rural Development
2011年9月から2012年6月
将来途上国の農村に住む若者の雇用支援の糧にするため
費用 400万円
内訳:
– 予備校費用130万
– 生活費75万
– 学費150万
– その他62万
※当時1ポンド=約125円
治安や生活 問題なし
言語・コミュニケーション 留学前は短期留学や予備校でスキルを磨く
就職活動への影響 ①帰国時期を2ヶ月早めて、留学生向けの夏季採用に応募
②留学先で師匠にES見てもらい、やりたいことを明確化できた
就職後の影響 ①英語で意見を言うことやプレゼンの経験が会議での積極的な発言、ファシリテートに生きている
気づきや学び ①修士論文を授業と並行して2ヶ月早く提出できたことが自信につながる

CONPATHでは大学生のうちに海外で長期の経験をしてみたいけれど何が自分に合っているかと迷っている学生のみなさんに、留学・海外インターンを経験した各3名のリアルな体験談を紹介しています。

甲斐さんのカンボジアインターンに関する体験談はこちら。

カンボジアは第二の故郷。海外インターンでできた「もう一つの帰る場所」

甲斐さん以外の留学・海外インターン経験者の体験談を読みたい方はこちらからご覧ください。

海外インターンと留学どっちが良い?経験者5人が語るメリット・デメリット

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