Interview with Samnang, a Cambodian General Manager of Fair Trade Organization

カンボジア発エシカルブランドKhmer Creationsのマネジャーが語る「フェアトレードの未来」

[:ja]唐[:][:en]Yusi[:] [:ja]語思[:][:en]Tang[:]

by 唐 語思

ボランティアからソーシャル・ビジネスへと潮流が変わりつつある昨今、フェアトレードに取り組む組織が抱える課題、ボトルネックは何なのか、カンボジア発エシカルブランド「Khmer Creations」の現地マネジャーに話を伺った。

Khmer Creationsは持続可能なビジネスにするという経済的目標と、経済的自立とライフスキルをカンボジア人女性に身につけてもらうという社会的目標を併せ持つ、カンボジアのソーシャル・エンタープライズです。Khmer Creationsのジェネラルマネージャであるカン・ソク・サムナン(34)(以下サムナン)はKhmer Creationsに参画した当初、フェアトレードについてはあまり知らずただカンボジアの女性たちの助けになりたかったと語りました。

ビジネスは常に浮き沈みがあるもの。「ビジネス」を推進するプロセスを通じてサムナンは何を学んだのでしょうか? そして複雑な社会的環境、家庭環境を背景に持つスタッフと働く上での挑戦は何があるのでしょうか? サムナンはエシカルブランドの現地マネジャーという立場から、フェアトレードに関して現実的かつ興味深い視点を共有してくれました。

唐: Khmer Creationsの事業について教えてください。

サムナン:Khmer Creationsは2007年中頃、アクセサリーや女性に焦点を当てて他のNGOと共に設立しました。そのNGOは女性を性産業から脱却させることに焦点を当て、私たちKhmer Creationsは彼女たちが滞在して働く場所を提供しました。私たちの会社は、外国人代表による小さなプロジェクトとして設立されました。彼女はカンボジアの人身売買された女性や子供たちのシェルターでボランティアをしていて、その悲惨な状況を学びました。彼女はカンボジアに留まり、思い入れの合ったアクセサリーを用いた何かを立ち上げようと決めました。そこからKhmer Creationsのコンセプトが生まれます。彼女は現在海外市場を開拓するためにカンボジアを離れていますが、毎週Skypeミーティングを行っています。

カンボジア人女性に職を提供するソーシャル・エンタープライズ「Khmer Creations」

現在はターゲットを広げ、雇用創出を通じてさまざまな問題を抱えるより多くの女性たちの手助けになれるよう取り組んでいます。私たちのスタッフの中には、自宅から退去するよう求められた者もいれば、前職で十分な収入を得られなかった者もいます。Khmer Creationsでは、24時間の災害保険、母親の昼食、子供のためのスペースや女性の財政管理を助ける貯蓄制度など、公正な賃金のほかに多くの福利厚生を提供しています。

サムナンのKhmer Creationsにおける役割は何ですか?

私はゼネラルマネジャーとしてプロジェクトに携わり8年が経ちました。私の仕事は、全スタッフを管理し、新しい技術を教え、売上を伸ばすための新しい戦略を実行することです。チームには私の他に、創業者3名とスタッフを合わせて11人のメンバーがいます。私がKhmer Creationsに入った時にできたのは縫製と工芸だけでしたが、そのスキルを活かすことですんなりとチームに溶け込むことができました。縫製とかぎ編みを習い始めたのは15歳の時で、自分や他の人に服を作ることができました。

15歳からですか? 子供の頃のことについて、もう少しお聞かせください。

Khmer Creationsのゼネラルマネジャー、サムナン

サムナンの子ども時代

私は男の子のように遊んでいました。女の子らしいことを何もしない子どもでした笑。
競争が好きで、他の人ができると思ったら私もできると思うような子でした。大人になったことでしなくなりましたが、兄弟がやることは何でも真似していました。

それは社会的なプレッシャーからですか?

そうかもしれないです。両親はカンボジアの文化にならって私を育てました。2004年にボランティアで初めてフィリピンに行った時に、女性が男性と握手をしていてショックを受けました。カンボジアでは普通そうしないので笑。
外の世界を見たことで、文化には違いがあることを認識し始めました。

子供時代のサムナン
サムナン6歳、地元にて。

私は勉強はあまりできませんでしたが、手工芸はとても得意でした。Khmer Creationsでは誰もがデザイナーです。私たちは3〜6ヶ月ごとデザインワークショップとコンテストを行い、新しいアイデアを模索します。Khmer Creationsの商品の一部は、私や他のスタッフがデザインしたものです。カタログのモデルを務めることもあり、全てのことに全スタッフが関わっています。

Khmer Creationsのかわいい商品たち
多くの商品やシルク製。Khmer Creationsは障害を持つ人々に関わる他のソーシャル・エンタープライズとも協業しています。

カンボジアのフェアトレード団体と女性を取り巻く環境

自分のデザインした製品を世界中の人に買ってもらえるチャンスが全員にあるのは、とっても素敵ですね!

Khmer Creationsのスタッフ

カンボジアにおける人身売買の問題は減少していると聞きましたが、サムナンはどう感じていますか?

私は減少しているとは思いません。表面上は人身売買が減少しているように見えるかもしれませんが、その問題を注意深く見ていくと、まだまだ重大な問題があります。現代社会は「適応」しようと努力していますが、人身売買が起こるのは夜間だけではありません。一見、人身売買の発生率は低下したかもしれません。しかし、私の知る限り、人身売買の発生率は上がってすらいるかもしれないと感じています。時には、学校で子供がターゲットになることがあります。学校の周りや地域を運転するとき、何かがおかしいと思うかもしれません。それは拉致ではない……しかし、「なぜ女の子はその男と一緒に行かなければならないのか?」と。

フェアトレードについてはどのようにお考えですか?

正直に言うと、以前はフェアトレードについてよく知りませんでした。けれど、私は15歳の時からずっとソーシャルワーカーになることを夢見てきました。以前はパートタイムのキャリアコンサルタントでしたし、職業訓練校の先生もしていました。それから私は家族をもっとサポートでき、かつ私のやりたいことをより実現できるフルタイムの仕事を探しました。
Khmer Creationsで働くスタッフのほとんどは貧しい家庭の出身です。私は彼女たちととても長い時間を共にすることで、多くのことを学びました。彼女たちはゴミ山として知られている「Stung Meanchey」と呼ばれる地域からやってきました。教育を受けられず複雑な社会問題に直面している人たちの人生が、どれほど困難なものか学びました。私は彼女たちにより良い生活を提供したいと考えています。

ゼネラルマネジャーとして店舗を運営し、スタッフを助けていく中で最大の課題は何でしたか?

最大の課題は、私たちがビジネスに疎かったことです。私は工芸品やアクセサリーを作る技術を持っていますが、ビジネスをすることは全く別のことです。前もって十分な計画を立てられていたとは言えませんが、それでも私たちは前に進もうとしています。

たしかに、公正な賃金を支払いながらデザインなどさまざまな面で他社と競うことはとても難しいと思います。

その通りです。また、私が最も学んだのはコミュニケーションの重要性です。コミュニケーションがうまくいかなければ、新しいお客さんを見つけられないため、マーケティングについてもっと検討する必要があると感じました。最初の4年間、私たちのビジネスはとても順調でした。製品販売によって得られた収入だけで、スタッフの給料・福利厚生を提供することができていました。ところが、ここ数年は卸売りのバイヤーを見つけるのに苦労しています。私はビジネスに詳しくないため、これは大きな挑戦です。もちろん私たちはより多くのパートナーを見つけるために努力しており、カンボジアと海外市場、両方の拡大を目指しています。

Khmer Creationsの事務所で働くサムナン
Khmer Creationsの事務所で働くサムナン

消費者の意識は以前よりもフェアトレードに向いてきていると思います。数年前はおそらく消費者はKhmer Creationsのような商品の裏にある社会問題について知らなかったでしょう。消費者が商品の背景にある問題について気づくと、その問題にどう貢献するかが求められます。今では多くの団体が取り組むようになり、逆説的ではありますが、ハンディクラフトを通じてハンディキャップを持つ人たちを助けるというアイデアは以前よりもインパクトが小さくなりました。

はい。設立当初、プロジェクトはとても早く成長しました。また、競合他社が少なかったためビジネスの専門家がいなくても大きく成功しました。

私は全体としては消費者の意識がフェアトレードに向くことは良いことだと考えています。いつかフェアトレードがどの社会でも当たり前になって、全ての生産者が家族を支えて良い生活を送るのに十分な収入が得られるようになることを願っています。
最後に、サムナンは仕事をしていてどんな時に喜びを感じますか? また、今後のビジョンを教えてください。

商品がたくさん売ることが出来たときは嬉しいです笑。また、スタッフが問題が起きずに互いに仲良くやれているときや、彼女たちを十分ケアし、彼女たちが望むものを提供できているとき、お客さんが私たちのアクセサリーによって幸せになってくれたときに喜びを感じます。それでも、私たちのスタッフは家庭に多くの問題を抱えているので、ソーシャルエンタープライズを経営していくのは女性としてとてもチャレンジングです。

私の役割は、スタッフの個人的な問題を解決する方法をアドバイスしながらビジネスを成功させることです。私は彼女たちと仕事を始めてから、ビジネス上だけでなく家庭の問題にも深く関わってきました。私が気づいたのは、あまりにも多くの感情的な繋がりがあるので、女性マネジャーは男性マネジャーより難しいかもしれないということです。スタッフは私にとって家族のようなものです。何か間違っていると気がついたら、それを無視することはできません。

私のビジョンは、スタッフが成長して自立していくことです。私たちは彼女たちを貧困から明るい未来に導くために、地域の女性ともっと密に働いていきます。

サムナンから将来の道を模索している読者へのメッセージ

あなたが夢を持っているなら、その夢を諦めないでください。

Khmer Creationsで仕事を始めたとき、ビジネスだけでなく経営にもたくさんのトラブルがあったので、私はもう諦めかけていました。私は過去3年間、チームのリーダーとして苦労してきましたが、私たちのスタッフと話し、指導するために強くあり続けました。私たちは大きな企業ではありませんが、私は今満足しています。

私が若い世代に伝えたいのはふたつです。あなたが夢を持っているなら、あなたの心に従って、あなたの好きなことをして、その選択を正しいものにすること。そして、あなたが歩む道のりの中で、あなたとの出会いを待っている人たちに明るい未来を届けること。

カン・ソク・サムナン、Khmer Creationsのゼネラルマネジャー

カン・ソク・サムナン

優れた縫製技能を持つサムナンは、Khmer Creationsのゼネラルマネジャーに就任し、チームの女性スタッフ全員をより明るい未来へと導いています。彼女はビジネスを担当するだけでなく、複雑な家庭環境を持つスタッフにとってのサポーターでもあります。
当初、Khmer Creationsは、カンボジアにおける人身売買問題に関心を寄せる3人のイギリス人女性によって設立されました。現在はプノンペンのカンボジア人女性によって運営されています。アクセサリーの製造・卸売りを通じて、スタッフにスキルと公正な給与を提供しています。アクセサリーはヨーロッパや北米、オーストラリアに輸出され、カンボジアでは多くのブティックで販売されています。

Cambodian Creations

営業時間: 09:30 – 19:00
住所: Alleyway of St. 240, Phnom Phen, Cambodia
電話: +855-97-522-3043
HP: www.khmercreations.org
Facebook: khmercreations
Instagram: @khmer_creations
*Cambodian CreationsはKhmer Creationsと他2団体によって運営されています

編集後記

サムナンがKhmer Creationsの現在の課題を共有してくれて本当に感謝しています。最終的な目標が「社会的」なものであっても、「ビジネススキル」が重要であることを気づかせてくれました。サムナンは持続可能な収益モデルを構築するだけでなく、スタッフの個人的な問題を解決するためのアドバイザーとしての役割も担っています。私はサムナンの社交的な性格とスタッフへの配慮、そして彼女の明るい笑顔によってKhmer Creationsはすぐに今の課題を乗り越えられると信じています。

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