フリーランスの経験が僕に月収30万円のサラリーマンよりずっと稼げることを教えてくれた

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by 唐 語思

サービス立ち上げから4ヶ月で損益分岐点に達し、たった9ヶ月目で月間売上38,000米ドル(≒380万円)を越えた伝説のカンボジア・スタートアップをあなたはもうご存知でしょうか。
超高速で売上が伸び続けている大注目のサービス、BookMeBus (以下BMB)はカンボジア発のオンラインチケット予約サービスです。
今回はその創業者ランダ・チア(Langda Chea、以下ランダ)(27歳)の素顔に迫りました。

「ITは人の問題をなんでも解決できる」と確信するプログラマー出身のランダ。意外なことに、起業のきっかけは学生時代のフリーランス経験を通じて、誰かに雇われるより独立した方がずっと多く稼げることに気づいたからだそう。
何の目的意識も持たずに生きてきたと言うランダですが、今はカンボジアにオンライン予約を浸透させるという使命を掲げています。
起業にビジネスプランはいらないと断言する彼が大ヒットサービスを生み出した秘訣、その先見性を養った経験や哲学とは何か……!?

唐: BMBとその立ち上げ背景について教えてください。

ランダ: BMBはバスのオンライン予約サービスです。プラットフォームと呼ぶ人もいますが、私たちのミッションはチケット予約をかつてないほど便利で簡単にすることです。このサービスを始めた理由は、これまでカンボジアでは二種類の方法でしかバスチケットを買えなかったからです。一つ目は直接駅のカウンターに行ってチケットを購入すること、二つ目は電話で異なるバス会社に一件一件電話して空席状況や出発時間を尋ね、決まったら直接カウンターに支払いに行くこと。他の国と違ってカンボジアではバスターミナルがなく、バス会社はそれぞれ異なる場所にあります。ですからチケットを予約するのにものすごく時間がかかります。

BookMeBus、バスのオンライン予約サービス - フリーランスの経験が僕に月収30万円のサラリーマンよりずっと稼げることを教えてくれた
BookMeBus、バスのオンライン予約サービス (bookmebus.com)

プログラマーとしていつから世の中をもっと便利にしようとか、社会に貢献したいと思うようになりましたか?

実は僕は何の目標もない人間でした。将来のことを考えずにただ日々過ごして、ITを専攻するのを決めた時もはっきりとやりたいことはありませんでした。でも勉強していくうちにITは世の中のすべての課題を解決出来ると気づいて、そのうちマネージメントをより楽にするツールを人々に提供することにビジネスチャンスを見出すようになっていきました。当時、ホテルやレストラン、両替所でも手書きでノートにすべての取引を記録していて、その効率の悪さにうんざりしていました。Excelの方がもっと整理されて安全なのに、頭悪いなと。

最近テクノロジーをビジネスと結びつけることについて講義したそうですが、このテーマについて語った理由はなんでしょうか?

パソコンに張り付いてコードをひとすら書き続ける人をたくさん見てきました。彼らはそうするのが好きなのか?そこからは何も得られません。人生はそれよりもずっと意味があって、講義では私たちが書くコードは世の中の課題を解決するため、どのコードも100万米ドルの価値があると伝えました。しかし、外の世界に出て行いって人々に会い、新しいことを学ぶことが必要です。学校で学んだ理論を実際の社会で使うことによって初めてその知識は脳に永久に貯蓄され、ビジネスのロジックを知ることで初めてクライアントに最高のソリューションを提供することができるのです。だから、彼らにビジネスがどのように成り立っているのかを学ぶように勧めました。問題を解決しなければコードそれ自体は何の意味も持ちませんから。

フリーランスの経験が、他人に自分の人生をコントロールされより自分の手で道を切り拓く方が良いことを教えてくれた

先ほど何の目標も持たずに生きてきたと言っていましたが、起業は以前から興味あったんですか?

起業のきっかけは最初のサラリーマン経験でした。ITマネージャーとして良い給料をもらえてはいたけれど、あまりチャレンジングではなかったので辞めました。自分はスキルがあってまだ若い、リスキーなことをしても何度でもやり直せると考えていました。そこから自分のビジネスを持つことで本当の世界について色々学び、人生の扉が開けましたね。サラリーマンは命令に従うだけで、会社がこれをやれと言えば座ってそれをやるだけです。それだけなのです。

"Owning your own life is better than letting others control your life." - The Legendary Cambodian Startup BookMeBus And The Founder Langda Chea
“自分の人生を他人に委ねず、自分の手で道を切り拓く”

みんなよく給料を何よりも重視して、毎月2,000〜3,000米ドルを稼ぐことが結構な額のように思いがちですが、私の場合大学在学中に経験したフリーランスウェブデザイナーの仕事を通じて、雇われなくてもお金は稼げるということを知りました。本当の社会に出てきた時、サラリーマンをやっているよりも自分の事業を始めた方がずっと稼げること、そして多くの機会があなたを待ってくれていることを理解するでしょう。

起業に関して更に言えば、みんな始める前に考えすぎだと思います。考えすぎていては課題しか見えなくなるけど、考えすぎないということは自分のアイディアに対してポジティブな気持ちでいるということです。ビジネスのプロセスの中で、きっとチャンスや解決策が見えてくるはずです。アイディアがうまくいかないことは当然あるので、問題を解決しようともどうにもならない時はただ諦めればいい。新しいものを適応させればいいんです。若い世代としてこのことを学ばなければなりません。

BMBは大ヒットしましたが、一番大きな課題は何でしたか?

現在、私たちの収入は外国人旅行者によるものがメインです。実は今BMBを使っているカンボジア人はほんのわずかで、eコマースはまだこの国の市場の発展段階にとって少し早いです。カンボジア人はオンライン支払いに不安を覚えているのと、前払いよりも後払いの方が好まれています。バスに関しては、乗車後車内で支払った方が旅程に柔軟性があって、乗客にとっては簡単なわけです。現在解決策として、例えばオンライン予約だと大事な約束の日にバスを逃すことがないといった、前払いの利点を広めることでこの行動パターンを変えていきたいと思っています。

バスを逃すと言えば、実は先週私自身はバスを逃さなかったのですが、他の人がバスを逃す原因になってしまいました……。カンポット(プノンペン近くにある都市)に行く予定があって、朝出発前にホステルで朝食を待っていると、スタッフが突然やってきてピックアップが来たから乗れと言ってきました。無料だったので言われるがままに乗ったはいいものの、2日後同じホステルに戻ると、スタッフにあの日のピックアップは実は他の旅客が予約したバス会社のもので、その人は不幸にも結局バスに乗れなかったと知らされました……。
バスチケット以外にもサービスを拡大させる予定はありますか?

笑。ピックアップサービスも考えています。旅行イコールBMBという風に思われることを目指していて。列車、飛行機、ボート、そしてタクシーと旅行者がすべての移動手段を一つの場所で購入できるようにしたいです。また、サービスの質に力を入れている小さい交通会社がより認知されるようなサポートもしていきたいです。

5〜10年後の展望について教えてください。

BMBの急成長ぶりにはランダ自身も驚いたという - フリーランスの経験が僕に月収30万円のサラリーマンよりずっと稼げることを教えてくれた
BMBの急成長ぶりにはランダ自身も驚いたという。彼の次のチャレンジとは?

BMBを始めてから、このカンボジア発のサービスをアジアやヨーロッパの国々と競争させるという大きな夢を持っています。自分を信じ、自分たちのプロダクトを信じ、それが人々の問題を解決する限り技術面では他国にも劣らないと信じ……。需要と供給が一致するところでお金儲けする機会が生まれます。多くの機会が私たちが実行するのを待っています。私たちのチームは社会的課題の解決が得意です。需要さえ特定できれば機会があるということなので、後はテクノロジーでそのギャップを埋めればいいのです。

カンボジアにオンライン予約サービスが他にも存在しているようですが、ライバルに関してはあまり気にしていないそうですね。

はい。競合が似たようなサービスを提供するのは全く問題ありません。私たちの目標はカンボジア人に新しいテクノロジーを使ってもらうことなので、ライバルが多ければ多いほど彼らのリソースを使って、オンライン予約の便利さや素晴らしさが普及していくと思うのでライバルは大歓迎です。

ランダ・チア(BookMeBus創業者)

ランダ・チア(BookMeBus創業者)

ランダ・チアは王立プノンペン大学と外国語研究所でそれぞれITと教育学を専攻。大学3年次にフリーランサーを経験したことがきっかけで、雇われよりも独立した方がはるかに稼げることに気づく。いくつかの会社で経験を積んだ後、2015年に起業し、同年10月にBookMeBus(BMB)をリリース。BMBは現在バスとフェリー、プライベートタクシーのチケットをオンライン購入できるプラットフォームとしてカンボジア国内と近隣諸国の人気都市を結びつけ、国内外の旅行をかつてないほどスムーズで便利にしています。サービスリリース後わずか4ヶ月にして損益分岐点を越え、この急速な成長は国際的投資家の注目も集めている。

編集後記

とてもフレンドリーな雰囲気の中で、ランダが率直に語ってくれたビジネス哲学はスタートアップ企業の本質を教えてくれました。ランダにとってどんな意思決定も楽しいもので、間違いから学び素早く市場に適応さえすれば失敗は存在しません。BMBのチケット取引量は日々カンボジアで売られているチケット総数の0.004%にしか過ぎず、まだまだ成長が見込まれています。何も明確な目標を持っていなかったランダですが、BMBは間違いなく最もホットなカンボジア発のサービスの一つです。ランダと彼のチームと働くことで、あなたのビジネスセンスは必ず磨かれることでしょう!

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